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PRESCRIPTION No.044PHILOSOPHER'S WORDS

千里の行も足下に始まる。

老子/道徳経 第64章/古代中国

一言でいうと

どれほど遠い目的地も、いま足元の一歩から始まる、という言葉。大きなことは小さなことの積み重ねからしか生まれないので、始める前から全体の大きさに怯えなくてよい、という教えである。

くわしい解説

この句は『道徳経』第64章にあり、同じ章には「一抱えもある大木も、毛先ほどの芽から生まれる。九層の高台も、ひと盛りの土から起こる」という言葉が並んでいます。老子はこれらを並べて、物事はまだ小さく形にならないうちが一番扱いやすい、と説いています。

第64章の主題は、むしろ「乱れが起きる前に治めよ」という予防の知恵です。危うさは安定しているうちに、問題は兆しのうちに手を打てば、大きな力を使わずに済む。千里の道の比喩も、壮大な計画を立てることではなく、手の届く小さなうちに手をつけることの勧めとして置かれています。

老子の思想の中心には、力みや作為を避けて自然の流れに従う「無為自然」があります。一歩を踏み出すことは、無理に全体を動かそうとするのではなく、いまできることだけをする、という意味で無為の実践でもあります。遠くを見て立ちすくむより、足元に目を落とすほうが道に近いのです。

どんな悩みに効くか

やるべきことが大きすぎて、どこから手をつければいいか分からず固まってしまうときに。全体の計画は一度脇に置いて、今日の足元でできる一番小さな一歩だけを決めてください。十分で終わることで構いません。老子に倣えば、その小ささこそが、大きなことに近づく確かな道です。