一言でいうと
最上のあり方を水にたとえた一句。低い場所へ流れ、形を選ばず、それでいて万物を潤す。優位を取りにいかないことが強さになるという逆説。
くわしい解説
老子は水を、道(タオ)のふるまいに最も近いものとして繰り返し取り上げます。水は誰とも争わず、みなが避ける低い場所へ進んで下る。にもかかわらず、あらゆる生き物は水なしでは生きられない。争わずに不可欠であるという状態が、ここでの理想です。
この章では続けて、住むには低い土地を、心は淵のように深く、与えるには仁を、言葉には信を、と具体的な指針が並びます。共通しているのは、位置を上げようとしないことです。上に立とうとしない者が結果として下から支えることになる、という構図になっています。
西洋の徳論としばしば対照されるのはこの点です。アリストテレスが卓越性の発揮を説くのに対し、老子は発揮しないことの効用を説きます。ただし無気力を勧めているのではありません。無為とは何もしないことではなく、逆らわずに働きかけることを指します。
どんな悩みに効くか
職場や家庭で「正しさ」を巡って消耗しているときに。主張を取り下げる必要はありません。ただ、勝ちに行かなくても伝わる形があるかを一度探してみてください。位置取りを降りた途端に相手の身構えが解ける場面は、実際によくあります。
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