PHILOSOPHER'S WORDS
問いこそが思索の敬虔さである。
— ハイデガー/技術への問い
一言でいうと
答えを急いで確保することではなく、問いを開いたまま持ちこたえることが、思索の誠実さである、という結論。分からなさに耐える態度を肯定する。
くわしい解説
『技術への問い』の最後の一文です。この講演でハイデガーは、近代技術の本質を、あらゆるものを「用立てられる資源」として立てる見方だと分析しました。森は木材の在庫となり、川は電力の供給源となり、人間さえ人材として計算される。
この見方の厄介さは、それが便利で有効であるところにあります。だからハイデガーは技術を捨てよとは言いません。彼が危険と呼ぶのは、この見方だけが唯一の見方になり、他の関わり方が思い浮かばなくなることです。
そこで最後に置かれるのが問いです。答えは新しい枠を確定させてしまいますが、問いは枠を開いたままにする。すぐ役に立たないことに耐えて問い続ける態度こそが、あらゆるものを用立てる圧力に対する抵抗になる——だから「敬虔さ」という宗教的な語が選ばれています。答えを持たないまま立ち続けることが、ここでは弱さではなく力として扱われます。
どんな悩みに効くか
「で、結論は?」と急かされて、まだ言葉になっていない違和感を引っ込めてしまうときに。答えが出ないことは、考えていない証拠ではありません。違和感を問いの形に直して持っておくと、材料が揃った日に自分で答えを出せます。
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