PHILOSOPHY GLOSSARY
実存主義じつぞんしゅぎ ・ Existentialism
別の言い方: 実存哲学
「人間はまず存在し、あとから自分で意味をつくる」と考え、あらかじめ決められた正解よりも、一回きりの自分の生き方の選択を重視する19〜20世紀の哲学の潮流。サルトルやハイデガーが代表です。
くわしい解説
実存主義は、キルケゴールやニーチェを源流とし、20世紀にハイデガー、サルトル、ボーヴォワールらが展開した思想の流れです。「人間とはこういうものだ」という一般論(本質)から出発するのではなく、いま・ここに投げ出されて生きる具体的な「この私」(実存)から考え始めます。
神や伝統が生き方の正解を保証してくれない時代には、意味は与えられるものではなく、選択と行動を通じて自分で引き受けるものになります。サルトルの「実存は本質に先立つ」はその宣言であり、自由には「選ばなかった可能性への責任」が伴うことも直視します。ボーヴォワールはこの視点を「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」という社会分析へ展開しました。
なお、カミュは実存主義者と呼ばれることを自ら拒みましたが、「意味の保証がない世界でどう生きるか」という問いを共有する隣人として、しばしば並べて語られます。
日常の悩みに引きつけると
「この仕事を続けるべき?」「もう30代なのに」——「べき」や「普通」を基準にすると、選択はいつも借り物になります。実存主義の視点では、問いは「何が正解か」ではなく「私は何を選び、その選択をどう生きるか」。小さくても「自分で選んだ」と言える決定を1つ増やすことが、出発点です。
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関連する用語
実存は本質に先立つ
人間には生まれる前から決まった役割や本性(本質)はなく、まず存在し、その後の選択と行動で「自分が何者か」を作っていく——というサルトル実存主義の中心テーゼです。
現存在
ハイデガーが人間を指して使った言葉。「そこに(da)存在する(sein)」、つまり自分の存在そのものを問題にしながら世界の中を生きる、人間に特有のあり方を表します。
不条理
意味を求めずにいられない人間と、意味を与えてくれない世界とのあいだのズレをカミュは「不条理」と呼びました。絶望でも都合のよい意味づけでもなく、ズレを直視したまま生きる「反抗」を説きます。
ニヒリズム
従来信じられてきた最高の価値(神・真理・道徳)が力を失い、「何のために?」への答えが無くなった状態。ニーチェはこれを時代の診断として捉え、乗り越える道を模索しました。
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